「懐かしい」という不思議な感情

「懐かしい」という不思議な感情

「幸せ」は、なるものではなく、感じるものです。やすらぎ、喜び、充実感、感謝などを感じているとき、人は幸せです。
ところが私にとって「懐かしい」という感情は、不思議な感情でした。もう少し浸っていたいという心地よさもあるし、過去を思い出す後ろ向きな感情のような気もしたからです。
ところが先日、とある婦人雑誌を見て、「懐かしい」と感じることは、幸せなんだと分かりました。

昔を思い出して「懐かしい」と感じると、幸福感をもたらす脳内物質のドーパミンが分泌されます。
それだけではなく、脳全体が活性化することがわかっています。なかでも、前頭葉・側頭葉・後部帯状回がよく働きます。これらは、前向きに未来を計画したり想像したりするときに働く部位であり、回想によって未来をポジティブに捉えられるようになると考えられます。

「懐かしさ」には、脳の健康を守り、認知症を予防する効果もあります。ストレスから出るホルモン、コルチゾールは、脳のさまざまな部位を攻撃して、委縮させ、認知機能の低下をもたらします。幸福感は、そのストレスを軽減してくれるからです。

回想するには、思い出を呼び起こすキュー(きっかけ)が必要です。アルバム、本、おもちゃ、思い出の品などです。また、学生時代の仲間と会ったり、家族とアルバムを開くなど、思い出が共有できる人との交流も有効です。

自分なりのキューをいくつか持っておき、ストレスを感じたら、すぐに回想することを習慣化して、日々幸福を感じて、生涯健康脳を目指しましょうね。